マツコ・デラックスが、3月25日に放送された『5時に夢中!』(TOKYO MX)に生出演。「タイパ(タイムパフォーマンス)」を重視する若者に物申した。 この日の放送では、帰りの挨拶などを「タイパ」が悪いと考え、あえてしない新入社員などの若者が増えているという記事を紹介。先輩や上司に「お先に失礼します」と退勤の挨拶をしてしまったばかりに雑談に巻き込まれ、帰宅が遅れる可能性もある。これが「タイパ」が悪いとされる理由で、若者は挨拶をせずにそっと帰宅し、自宅でSNSや動画を視聴する傾向にあるという話だった。 「タイパは『タイムパフォーマンス』の略で、1990年代半ばから2010年代初めにかけて生まれたZ世代を中心に、『短い時間でどれだけ効果や満足度を得られるか』という視点が重視されています。2022年の7月頃から、このトレンドがメディアにも取り上げられるようになりました」(広告代理店関係者) マツコは、「タイパ」という言葉に対して「なんだそれ!」と不快な様子。MCの大島由香里アナウンサーが「最近の若者は、時間を奪われることをすごく嫌う傾向がある。なのでSNSも短い動画にシフトしつつあるっていうことなんだと思うんですけど……」と説明すると、マツコは「でも、それで意味もない短い動画を何時間も見てるんだったら、それってタイパっていうの?」と疑問を投げかけた。 マツコの率直な意見に対し、SNS上ではさまざまな意見が寄せられている。 《挨拶はタイパ悪いかもしれないけど、後々叱られたり文句言われたりする時間のがよっぽどコスパもタイパも悪いってことに気づけてないから可哀想》 《挨拶しないのはただ失礼なだけだと思いますけどね 若い子全員が挨拶しないわけじゃないけど、挨拶しない子は仕事できない》 《黙って帰る人は中高年にもいます。そういう人は、いざというときに信用出来ません》 そもそも、なぜZ世代に「タイパ」という文化が浸透したのだろうか。 「総務省の『情報通信白書』によると、スマートフォンの世帯保有率は2015年時点で72%、2020年には86.8%に達しています。このような環境のなかで育ったZ世代は、インターネットの利用を当たり前と捉え、大量の情報から短時間で必要かつ有益なものを見つけ出すことに慣れ親しんでいることから、タイムパフォーマンスの高い行動が自然と身についています。 この感覚は、働き出してからインターネットを利用し始めた中年層にはなかなか理解しづらいもの。全力で仕事に取り組むべきと考える40~50代と、仕事よりプライベートを重視するZ世代の間には価値観のズレがあり、意見がかみ合わないのは当然のことかもしれません」(前出・広告代理店関係者) マツコが「タイパ」を重視する若者に物申したのは、今回が初めてではない。2022年12月6日に放送された『マツコの知らない世界』(TBS系)でも、同様の主張をしていた。 「『映画音楽の世界』をテーマにした回で、出演した映画音楽の愛好家が『今どきの若者はタイパって言って、2倍速とかで映画を観るんですよ』と語ったところ、マツコさんは『もっと言うと、音楽とかも飛ばして聴くからね。ちょっと、意味がわからないんだけど。2倍速なんかで見たら映画音楽のよさなんて全くわからない』と嘆いていました。若者文化に詳しいマツコさんですが、作品本来の魅力を損なう倍速視聴は理解できないようです」(テレビ局関係者) いつの時代も、若者と大人の考え方は相容れないもの。理解できないと憤るその時間こそ、「タイパ」が悪いのかもしれない。
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笑福亭鶴瓶、初の生配信番組『無学 鶴の間』に落語家・桂宮治が登場! 落語への思いも語り合う貴重なトークは必見!!
USEN-NEXT GROUPの株式会社U-NEXT(本社:東京都品川区、代表取締役社長:堤 天心)が運営する動画配信サービス「U-NEXT」は、2024年2月5日(月)にU-NEXTオリジナルとして独占生配信した笑福亭鶴瓶による初の生配信番組『無学 鶴の間』のイベントレポートを公開いたします。 『無学 鶴の間』第21回のゲストは、日本テレビ「笑点」の新メンバーに抜てきされるなど、今もっとも勢いのある若手落語家のひとり、桂宮治が登場。この日も、事前に知らされていなかったゲストが宮治であると分かるや、客席から思わず「やった!」という歓声が漏れるなど、注目の高さが伺いしれた。 同じ会場で行われる鶴瓶のもうひとつのトークライブ『帝塚山 無学の会』に宮治がゲスト出演したのは2021年9月20日のこと。「もともと俺が面白いと思って呼んだんですけど、あれから『笑点』が決まって。この間も『情熱大陸』に出てましたからね」と近年の宮治の飛躍ぶりに感慨深い様子を見せる鶴瓶。 もともと噺家になる前は化粧品のトップセールスマンとして安定した暮らしをしていた宮治だったが、30歳の時に落語の面白さに目覚め、結婚式当日に会社を辞めると宣言。その後、三代目桂伸治に弟子入りし、落語家の道を進むことになった。まさに異色の経歴の持ち主であるが、「あの時はただただ落語家になりたいと思っていた。カミさんとも『仕事をやめちゃえ』『貧乏でもそっちの方が楽しいだろう』と話し合って。それからうちの師匠と出会ったんです」。 そんな宮治が人気番組「笑点」の新メンバーに選ばれたのは2022年1月1日のこと。それ以来、一躍注目の存在となった宮治のもとには数多くのオファーが殺到したという。その中には綾野剛主演のTBSドラマ「オールドルーキー」もあった。「その時はマネジャーもいないですし、事務所にも入っていない。ただの寄席芸人ですから。だからすべてのテレビ局と新聞社と雑誌の取材の申請と、ドラマのスケジュール進行の方からの連絡と、すべて僕ひとりでやっていた。携帯から火が出るくらい、1日何百件も鳴って。それを全部返していた」と大変だった日々を述懐。 そんな中、ドラマの撮影現場に入り、「3日目くらいに神奈川の海岸沿いで綾野さんとの撮影があって。撮影にも慣れてきたんで、ようやくふたりでしゃべれるなと思ったんですけど、右手の携帯がずっと鳴り続けていて。本当に(携帯を)海に投げそうになりましたよ。すべてを捨ててやろうと思いましたから」とボヤいてみせて会場は大笑い。 その時に綾野とは「落語家さんってすごいですね」「いや役者さんの方がすごいじゃないですか」というようなやり取りをしていたというが、その流れで「僕たちは昨日、1年後のシーンを撮ったら、今日は数日前のシーンを撮って。何日後かにはまたもとのシーンに戻って…と。僕たちは時間を行き来する魔法使いみたいなもんなんですよ、と。そんなようなことをおっしゃっていて。カッコいいなと思ったんですけど、実はその時はよく分かってなかった」と冗談めかして会場は大笑い。 そこで鶴瓶が「あいつはロマンチストなんですよ。(鶴瓶も出演した)『奈緒子』という映画では、あいつが(主人公の)ライバル役だったんですよ。その時は(役づくりのため)いっさいしゃべっていない。(綾野とは)その後で仲良くなったからね。『あの時はしゃべることができなくてごめんなさい』ってね」と振り返ると、宮治も「本当にストイックなんですよね。(主役として)膨大なセリフ量があるのに、(座長として)現場にいる人全員に声をかけていて。本当にカッコよかったです」と振り返った。 そんなふたりのトークが大いに盛り上がる中、宮治が落語を一席披露する事に。「今日の落語が面白かったか、つまらなかったかが決まる要因というのはわれわれ演者の技量じゃないんですね。何が重要かと言いますと…」というところからはじまる毒っ気たっぷりで軽妙なまくらで会場を温めた後に、スッと古典落語の滑稽話「時そば」に入り込む。舞台は寒い冬に営業する屋台のそば屋。そこで温かいそばをすすっていた客だが、支払いの段階になって、大量に用意した小銭を1枚ずつ数えながら店主に支払いを進める。だがそこで男は姑息な手口をつかって、店主に気付かれないように16文の代金を1文ごまかして、そそくさと店を後にする。そしてその一部始終を目撃していた別の男は、自分も同じ手口でそばの代金をごまかそうと挑戦するが…。という内容の一席となる。 キレが良く、エネルギッシュな語り口で次から次へと会場の爆笑を誘う宮治。そしてそばをすするさまも、詳細な仕草まで完璧にとらえた描写力で感心させたかと思えば、それと対比するように、時には下品なまでに誇張した仕草で会場を沸かせるなど、変幻自在の語り口で会場を魅了した。 […]
父のがんを治すのには間に合わない…それでも三木谷浩史が光免疫療法に自腹で7億円を支払ったワケ
アメリカ国立がん研究所(NCI)主任研究員の小林久隆さんによる、がん細胞を狙い打ちする革新的な「光免疫療法」が注目を集めている。この療法の薬剤を手掛けるのは三木谷浩史氏率いる楽天メディカルだ。なぜ三木谷氏は最新のがん治療に関わるようになったのか。ライターの芹澤健介さんの著書『がんの消滅 天才医師が挑む光免疫療法』(新潮新書)より紹介する――。(第2回) 余命3カ月の父に三木谷がやったこと 三木谷は三木谷で懸命に治療法を探していた。 父の良一がすい臓がんと診断され、医師からは「余命3カ月」と宣告されていた。 すい臓がんは、いまだに極めて生存率の低いがんだ。5年生存率は約11%、10年生存率となると約6%とも言われる。自覚症状が少なく、臓器が胃の裏にあるため検査でも見逃されがちだ。進行も早く、気づいた時にはリンパ節や他の臓器に転移していることもしばしばだという。 良一は日本金融学会の会長も務めた経済学者で、神戸大学で長く教鞭を執り、同大学の名誉教授となっている。三木谷は良一の第三子で末っ子だ。 三木谷はよく知られているように、いまや日本一の規模を誇るインターネット・ショッピングモール「楽天市場」だけでなく、金融、通信、旅行といった事業やサービス群をも運営する巨大な「楽天経済圏」を生み出した。そればかりかプロ野球の東北楽天ゴールデンイーグルス会長兼球団オーナーであり、サッカーJリーグのヴィッセル神戸会長でもある。個人資産は5000億円を超えるとも言われる日本屈指の実業家だが、父にはことあるごとに相談してきたという。 世界中で治療法を探してみたが 親子の対談を収めた『競争力』(講談社)には三木谷の次のような言葉が見える。 「私は子どもの頃、利かん坊で、成績もいい方ではなかったが、父はいつも温かく見守ってくれた。校風が合わず、私立の中学から転学する時も、私の考えを尊重し、サポートしてくれた。一橋大学を卒業して研究者になるかビジネスマンになるか悩んだ時や、日本興業銀行(現みずほ銀行)を辞める時、楽天を創業する時、TBS(東京放送)を買収しようとした時など、人生の岐路に立たされた時、私は必ず神戸にある実家を訪ねて父に相談し、示唆を受けてきた」 そんな父のために、三木谷は専属の医師団まで結成して最善の医療を模索していた。 「小林先生に会う半年ほど前のことでしたね、父のがんが見つかったのは」三木谷は言う。 「進行がすごく早くて……化学療法から始まって、重粒子線治療もやりましたし、そのコンビネーションもやりました。最終的には、抗体にイットリウムという遷移金属の放射性同位元素をつけた治療法も試しました。最先端の治療をほぼぜんぶ試した形です。それから、世界中のありとあらゆる病院を回りました。コロンビア大学、スタンフォード大学、ハーバード大学、パリ大学……世界中、いろんなところに行って調べたけれども、今のところ、すい臓がんに有効な治療法はないと言われたんです。 お医者さんによっては、もう何もしないで自然に任せておくのが本人のためだと言う人もいて。でも、僕は諦めが悪いのでがんの本を買い漁って、手に入る論文を端から端まで読んで、何かあるはずだ、絶対にいい治療法があるはずだと思っていたんです。当然、素人の自分の力だけでは無理なので、お医者さんの先生に集まってもらって、いろんな治療法を探していました。もう完治は難しいと言われても、なんとか延命させてあげたいなと思って」 小林と三木谷をつないだ不思議な縁 […]
アートイベント『吉川晃司とUL・OS展 「からだから生きるを問う」』開催|吉川晃司がありのままの姿でメッセージ発信
大塚製薬の男性向けトータルスキンケアブランド「UL・OS(ウル・オス)」は、このたび『「UL・OS Questions」プロジェクト』を始動。本プロジェクトの開始に伴って、2023年11月24日(金)~同月29日(水)まで一般向けに展示イベント『吉川晃司とUL・OS展「からだから生きるを問う」』を東京・表参道にあるスパイラルガーデンにて開催。 正解の無い「生き方」を問う― プロジェクト 大塚製薬が長年の研究で培ったノウハウを最大限に活用して、「健康的な肌こそが美しい肌」という考えのもとに誕生した…「化粧品」を超えた「健粧品」を展開するスキンケアブランド「UL・OS(ウル・オス)」。肌本来の健やかさをサポートし、「化ける・装う」のではなく、自分らしい生き方を提案しています。 そんな「UL・OS」がこのたび始動したプロジェクト「UL・OS Questions」では、肌を通じて伝わる美しさとはその人が本来持っている「自分らしい魅力」であるという考えのもと、「そのような自分らしい生き方や魅力とは、どのようなものなのか?」を探求してきます。 このコンセプトに「ピタリとはまる人は誰か?」と考えれば、やはりこの人しかいないでしょう…今回のプロジェクトに参画したのは、歌手・俳優の吉川晃司さん。発表会では吉川さん自ら、このプロジェクトに企画段階から参加していたことを述べています。 また大塚製薬を代表して、ニュートラシューティカルズ事業部製品部ウル・オス担当 小島涼太朗さんも登壇。このイベントのみでなく、年間をとおして「どのように生きるか」や「その人らしさとは」などを問いかけることに加え、さまざまな学術分野の第一人者の方をお迎えしたうえで優良な情報をプロジェクトサイトでインタビュー記事として紹介するとのこと。また、イベント等も行って体験型の情報も発信していくことを宣言しました。 大塚製薬 ニュートラシューティカルズ事業部製品部ウル・オス担当 小島涼太朗さん。 そしてこのたび、このプロジェクトのイベント第1弾としてスタートしたのが、東京・表参道にあるスパイラルガーデンにてスタートしたアートイベント『吉川晃司とUL・OS展 「からだから生きるを問う」』です。 […]
キーエンスの独特ルール「上司をさん付け呼び」「部下を飲みに誘うのは禁止」
米経済誌『フォーブス』世界長者番付の2022年版において、日本人で100位以内に入ったのは3人。ファーストリテイリング(ユニクロ)・柳井正氏(54位)とソフトバンクグループ・孫正義氏(74位)という世界的経営者の間に割って入ったのが、資産額239億ドル(約2兆9400億円)で61位にランクインした滝崎武光氏(76)である。 滝崎氏はセンサーのメーカーであるキーエンスの名誉会長。キーエンスは、1974年に滝崎氏が兵庫県尼崎市に設立した会社で、自動車や精密機器、半導体などの工場で生産工程を自動化するファクトリーオートメーション(FA)にかかわるセンサー類を開発・製造するメーカーだ。 過去5年間の社員平均年収は1930万円。業績に連動するため年ごとに差があるが、東証プライム企業のなかでも図抜けて高く、“日本一給料が高い会社”と呼ばれている。 そんなキーエンスには、独特な社内ルールが存在する。キーエンスの元営業社員で中小企業診断士の立石茂生氏は、こう話す。 「上司を肩書きで呼ぶのは禁止で、全員が“さん付け”です。私たち若手も“滝崎さん”と呼んでいました。風通しのいい会社に見えますが、実は“下克上”をしやすくするという理由もある。実力主義の会社なので、いきなり年上の部下、年下の上司になったりしますが、普段から“さん付け”なら抵抗が小さい。 上司が部下を飲みに誘うのも禁止です。会社の人間関係で、馴れ合いや好き嫌いの感情は持つべきではないという方針で、新入社員のときに滝崎さんから『赤ちょうちん談義は何の生産性もないからやめてください』と言われた」 会社が利益を出すために、必要のないものはすべて排除していくという姿勢だ。 滅多にメディアに露出しない滝崎氏が受けた最後のロングインタビューとされる『日経ビジネス』(2003年10月27日号)の記事で、滝崎氏は〈会社として過去を振り返っては絶対にダメです〉と言い、創業記念日を定めず、社史も編纂しない、アフターサービスが必要なくなった時点で過去の製品はすべて廃棄するという旨を述べている。常に未来を見据えよというメッセージである。 素人が財テクや不動産投資で儲けるのは、不労所得になるからやらないと言い、〈頭を使い、汗を流して、いい仕事をしようと〉社員には伝えているという。“合理主義者”と評される所以である。 キーエンス社員の間で語り継がれているエピソードがある。ある日、滝崎氏に営業社員から相談があった。「取引先から『お前の会社は儲けすぎだ』と言われるが、どう答えればいいか」。滝崎氏はこう答えたという。 「私は若い頃、オーディオが好きだったが、ソニーの製品を買おうと思っても店側は値引きしてくれない。他社製だと3割くらい値引きするのに。だからといって、ソニーの商品が売れないということはない。本当に高すぎるのなら売れないはず。つまり、なぜ客が、高すぎる、値引きしろと言うかというと、本当にその商品が欲しいからだ。だから、それは商品に対する“誉め言葉”として聞いていればいい」 立石氏は、いかにも滝崎氏らしい返答だと語る。 「滝崎さんは理系人間なので、どんなことでも理詰めで考え、反論を事前に想定して、答えを用意している。それで反論してくる人を論破できたら、その考えは正しいとみんなに納得してもらえるわけです」 値引きもしなければ、取引先に対する接待営業も一切禁止。理屈に合わないからだが、よほど自社製品に自信がなければ、できないことでもある。 ※週刊ポスト2022年4月29日号
ファストリ柳井会長が「第4創業」の事業構想発表、最終的に売上10兆円目指す
ファーストリテイリングが、2023年8月期の中間決算説明会を開催した。今上期(2022年9月〜2023年2月)は海外ユニクロ事業とジーユー事業で大幅な増収増益を達成し、過去最高の業績を更新。通期の売上予想では2兆6800億円を見込み、これまで目指してきた「売上3兆円規模」は来期に達成できる見通しだとした。同説明会に登壇した柳井正代表取締役会長兼社長は、2023年度を「第4創業」のスタート地点と位置付け、「真のグローバルプレイヤーの確立」と、「今後10年後を目安に売上高10兆円実現」に向けた構想を語った。 同社は1984年に「ユニクロ(UNIQLO)」1号店を広島の地に出店。2005年に売上3800億円、2013年に売上1兆1000億円を達成し、そして2024年に売上3兆円規模を見込むなど、10年でおよそ3倍ずつ成長してきた。それぞれ、海外進出を本格化させた第2創業、「情報製造小売業」の基盤を確立させた第3創業と位置付ける。2023年にスタートさせる第4創業はコロナ収束後の新しい時代を作る転換期とし、「世界中で最も愛されるナンバー1のブランドを本気で目指す」と柳井会長は意気込む。 成長の柱に据えるのは、グレーターチャイナ、東南アジア・インド・豪州地区、北米、欧州のユニクロ事業と、ジーユー事業だ。海外ユニクロ事業では強化エリアの出店を加速させるほか、Eコマースと店舗が一体となった購買体験を強化し、5年程度で各地域で国内ユニクロ事業を超える規模に拡大させる方針。ジーユー事業も海外展開を推進し、事業規模で倍以上の成長を目指す。 グローバルで飛躍するための重要な地域と位置付ける東南アジア・インド・豪州地区は、コロナ禍で一時的に収益が低下したが、2022年8月期からは1店舗あたりの売上収益がコロナ前の約1.5倍と好調で、今期の売上収益として掲げてきた目標3000億円を達成できる見込みだという。支持につながった理由として「商品価値を伝えるマーケティング」や「社会貢献への評価」「出店拡大」などを挙げている。店舗は2023年2月末現在で計323店舗を構え、今後はショッピングセンターに加え成長ドライバーであるロードサイド店舗を増やす。 ◆柳井会長が語った「世界最高のブランドになる」ために必要なこと 柳井会長は「成長の源泉は個々にある」とし、グローバル全体で「個店経営」を更に強化する方針。説明会資料に「Global is local, Local is global」のフレーズを用いたように、情報製造小売業の特性を活かしながらローカルと連携し、ヒット商品の開発や問題解決に取り組む。ヒット商品に関しては、エアリズムなどが好事例となっているという。 柳井会長は説明会で、「世界最高のブランドになる」ために必要な“3つの質問”を紹介。1つ目は「あなたは何者か」。2つ目は「世界各地で何か“いいこと”をしているか」。そして3つ目は「この国にどんな“いいこと”をしてくれるのか」だという。「服が良くないと世界最高にはなれない」のは前提としながら、プロダクトだけではなく現場のスタッフや経営者、経営方針に共感できるか。その国の他の業種と手を組み、利益をもたらし、地域を盛り上げる経営活動ができるのか。こういったことに答えていけることが大事だとした。 この質問に答えるために、人材育成や採用にも一層の力を入れる。ヘッドウォーターを構える日本では優良な人材を確保する狙いも含め賃上げを行ったことが話題を呼んだが、「ローカルだけの仕事ぶりではダメ」だと柳井会長は警鐘を鳴らし、日本を拠点に世界を飛び回っていける人材を作ることを目指す。柳井会長によると「3分の2の人員は世界に出ていく」イメージだという。そのほかグローバルの連携強化を目的に、ヘッドクォーターをニューヨーク、パリ、ロンドンのいずれかに設立することも視野に入れ、日本人を中心とした経営から作り変える。 この日に公表したファーストリテイリングの成長プロセスには「10年でおよそ3倍ずつ成長」という流れがあるが、第4創業の最終的な目標として掲げる売上10兆円はかなり強気な設定だ。柳井会長は説明会の中で「今後10年程度で売上10兆円達成」という目標について問われると「できたらね」とはにかみつつ、「(売上3兆円規模から)10年程度で3倍にすると9兆円、それだと区切りが悪いので」と説明した。 なお、競合とされるグローバルアパレル企業を実績ベースで比較すると、「ザラ(ZARA)」を擁するインディテックスは325億6900万ユーロ(約4兆7770億万円/2023年1月期)、「H&M」を展開するヘネス・アンド・マウリッツは2235億5300万クローナ(約2兆8830億円/2022年11月期)。また、2022年度(2022年1月〜12月)に過去最高を更新したLVMHグループの売上高は792億ユーロで、日本円にすると11兆円超となっている。 […]
ソフトバンクは「本業が不明」だから強い?
1981年の創業以来、ソフトバンクが成長し続けているのには理由がある。それは孫正義の卓越した交渉力だ。そしてその背景には、孫正義の企業戦略についての考え方が一般の企業戦略論とまったく異なっていることがある。 一般的な考え方とは真逆の孫正義流企業戦略 一般的に企業戦略は、「自社の置かれた市場における機会と脅威をとらえて、自社の強みと弱み、競合他社の強みと弱みの分析に基づいた企業の維持・発展を目指すための方針」などと説明されることが多い。だが孫正義の企業戦略は、このような考え方とはある意味、真逆と言ってもいいだろう。 孫正義の企業戦略論は「自社が優位性を獲得できる可能性のある新しい市場を探索・選択し、その優位性を確立するためのヒト・モノ・カネ・情報の経営資源を交渉によって短期間に調達し、一気にナンバーワンを目指す」というものだ。 孫正義は、既存の事業については基本的に部下に任せていく。そして、新規事業を立ち上げて、当初は自ら社長をしていても、あるタイミングで代表を新社長に譲り、また別の新事業に移っていく。事業規模にもよるが、数年でこのサイクルを回していくのが孫正義流だ。 つまり孫正義にとっては、本業とはつねに新規事業のことなのだ。ソフトバンクは時に「本業がはっきりしない会社」と批判されてきた。それは、ある意味で当たっている。なぜなら孫正義はつねに「自社が優位性を獲得できる可能性のある新しい市場を探索し選択」しているからだ。 実はこの、「自社が優位性を獲得できる可能性のある新しい市場を探索し選択」するということは、創業直後のベンチャー企業ならどこでもやってきている。言うまでもなく、あらゆる市場には、すでに巨大な大企業が存在しており、一般的な企業戦略論が言うような、「自社の強みと弱み、競合他社の強みと弱みの分析に基づいて」企業戦略論を立てていたら、ほとんどのベンチャー企業が、そもそも起業しないほうがマシということになってしまうからだ。 たとえば、現在ではソフトバンクの本業となっている通信事業も、2001年の参入当時の競合は日本最大級の企業であるNTTであり、当時のソフトバンクにとって「自社の強みと弱み、競合他社の強みと弱みの分析に基づいて」考えれば、到底、勝ち目はなかった。だが、「自社が優位性を獲得できる可能性のある新しい市場を探索し選択」することで勝機を見いだした。具体的には、通信事業の中でも規制緩和とテクノロジーの進化に伴ってできた新しいADSLという市場に集中したから、戦うことができたのだ。 世界中の経営資源にアクセスできる孫正義の交渉力 そして、いったん新しい市場の攻略を決めれば、孫正義は「その優位性を確立するためのヒト・モノ・カネ・情報の経営資源を、交渉によって短期間に調達し、一気にナンバーワンを目指す」。 ベンチャー企業はヒト・モノ・カネ・情報などの経営資源が圧倒的に不足していることは当然だ。しかし、これは孫正義にとっては嘆くべきことではない。孫正義はこれらの経営資源を、卓越した交渉力で調達してくるからだ。 たとえば、日米の携帯電話会社の買収のため、世界中から巨額の資金調達を行う。また、有力な後継者としてインド人のニケシュ・アローラをリクルートする。このような大胆なアクションは、使える資金の前提を内部留保としたり、生え抜き人材を重視する自前主義の企業では取りえないアクションだ。その点、孫正義は、自分が使える経営資源は世界にあふれていると思っているのではないか。 そして、こうした経営資源を全世界から調達してくる力こそが、孫正義の交渉力なのだ。孫正義の未来に対するビジョンやビジネスモデル、経営数値への深い理解も、すべてが交渉力として結実している。この交渉力こそ、経営資源を持たざるベンチャー企業としてのソフトバンク躍進のたったひとつの理由なのだ。
「伊藤忠商事」代表取締役 会長CEO 岡藤正広さんに聞いた!会社を長続きさせる働き方改革とは?【加藤綾子/一流思考のヒント】
「カトパン」ことフリーアナウンサーの加藤綾子さんが一流のトップに組織マネジメントや成功のヒントを探り、そっとシェアする「一流思考のヒント」連載。 第11回「伊藤忠商事」代表取締役 会長CEO 岡藤正広さん[前編] Profile加藤綾子 Ayako Kato2008年フジテレビ入社、看板アナウンサーとして活躍。´16年よりフリーアナウンサーとなり、活躍の場を広げる。4月から『世界へ発信! SNS英語術』(NHK)、『MUSIC FAIR』(CX)にて新たにMCを担当。夏からスタートしたオフィシャルインスタグラム@ayako_kato.officialは、11月現在でフォロワー29万超えに。 岡藤正広 Masahiro Okafuji伊藤忠商事株式会社代表取締役 会長CEO。1949年生まれ。東京大学経済学部を卒業後、1974年に伊藤忠商事に入社。大阪本社を主な拠点に繊維の営業を担当し、世界の有名ブランドの導入に手腕を発揮。2010年に代表取締役社長に就任。2018年より現職。 会社は長続きせないかんわけで、いかに社員の幸せを考えるかが大事。働きがいがあれば、業績も上がります(岡藤さん) 岡藤やっぱり会社は長続きせないかんわけで、そのためにいかに社員の幸せを考えるかが大事なわけですよ。社員が働きがいを持ってがんばってくれれば、業績が上がる。そうなると株主の方への配当も増え、お客様の商売も伸びる。このように、全てのステークホルダーの幸せにつながるんです。 加藤民間企業として初めて国立がん研究センターと提携して、がんになった社員の仕事と治療の両立支援を始められたというお話も素晴らしいなと思いました。 岡藤2人に1人ががんになる時代ですが、かつては「がんになったことを伝えると仕事を失うのではないかと不安で、会社に言いづらい」という人もたくさんいました。また、自分に何かあったら家族はどうなるのかという不安もあります。そのため、がんに罹患した従業員が会社の全面的なサポートを受け、最先端の治療を受けながら働き続け、成長できる体制を整えています。がん治療と仕事を両立できれば成果として評価され、賞与に反映される。 […]